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ハンスぼっちゃんはりねずみ
Grimm Märchen

ハンスぼっちゃんはりねずみ - メルヘン グリム兄弟

子どもたちの読書の時間: 14 分

昔、土地とお金がたくさんある村人がいました。しかし、どんなに裕福でも、この人の幸せにはまだ一つ不足したものがありました。子供がいなかったのです。他のお百姓たちと町へいくと、みんなはよくからかって、どうして子供がいないんだ?と聞きました。とうとうそのお百姓は怒って、家に着くと、「なんとしても子供がほしい、たとえはりねずみでもな。」と言いました。するとおかみさんに、体の上ははりねずみで下は人間の男の子が生まれました。おかみさんは子供を見ると、ぎょっとして、「ほら見てごらん、あんたが変なことを願うからよ。」と言いました。するとお百姓は、「もうどうしようもないじゃないか。この子に洗礼させて名前をつけなくちゃならないんだが、名付け親になってくれる人は見つからないだろうな。」と言いました。おかみさんは、「じゃあ、はりねずみハンスと呼ぶしかないわ。」と言いました。

洗礼を受けたとき、牧師は「針があるから普通のベッドには寝れないね。」と言いました。それでストーブのうしろに少しわらを敷いてはりねずみハンスをそこにねかせました。母親はお乳をあげられませんでした、というのは針で刺してしまったでしょうから。そうしてストーブの後ろにいて8年経ち、父親は息子にうんざりして、(死んでくれればいいのに)と思っていました。ところが死なないでそこにい続けました。

さて、あるとき、町に市があり、お百姓はそこにでかけるところでしたが、おかみさんにみやげは何がいいかと尋ねました。「肉を少しと白パンを2,3個お願い。家になくちゃいけないものだからね。」とおかみさんは言いました。それから召使に尋ねると、召使は室内履き一足と足首に刺しゅうのついた靴下が欲しいと言いました。おしまいにまた、「それで、はりねずみハンス、お前は?」と聞きました。「おとうさん」とハンスは言いました。「バグパイプを買ってきて。」そこで父親は家へ帰ってくると、おかみさんに買ってきた肉と白パンを、女中には室内履きと刺しゅう付き靴下を渡し、最後にストーブの後ろに行き、はりねずみハンスにバグパイプを渡しました。

はりねずみハンスはバグパイプを受けとったとき、「おとうさん、鍛冶場に行っておんどりの足に金具をつけてもらって。そうしたら僕はおんどりに乗って出ていき、二度と戻らないから。」と言いました。これを聞くと、父親は息子を厄介払いできると考え喜んで、おんどりの足に金具をつけさせました。それが済むとはりねずみハンスはおんどりに乗り、去っていきましたが、森で飼うつもりで豚とロバを何頭か一緒に連れて行きました。森に着くと、高い木の上に自分がのったおんどりを飛ばせ、そこに何年もいて、ロバと豚の番をしました。それでとても大きな群れになりましたが、父親の方は何も息子のことは知りませんでした。はりねずみハンスは木に座ってバグパイプを吹き、とても美しい音楽を奏でました。

あるとき、王様が通りかかりました。道に迷い、音楽を聞いて驚き、この音楽はどこからくるか辺りを探してこい、と家来を遣わしました。家来は探しまわりましたが、木の上にとまっている小さな動物しか見えず、それは、この音楽を奏でているはりねずみがのったおんどりのように見えました。

すると王様は家来に、どうしてそこにいるのか、自分の王国に行く道を知ってるか、尋ねるようにと言いました。それではりねずみハンスは木から下りて、言いました。「道を教えてあげましょう、もし王様が家に着いてすぐ、最初に王宮の中庭で出会うものをくれると約束し、証文にするならね。」すると王様は(そんなことは簡単だ、はりねずみは何もわからないんだから、何を書いても平気だ)と考えました。そこで王様はインクとペンをとり、何か書きました。それが終わるとはりねずみハンスは道を教え、王様は無事に家に着きました。しかし、娘が、遠くから王様の姿を見て、大喜びして駆けよってきて、王様にキスしました。それで王様ははりねずみハンスを思い出し、娘にあったことを話しました。そして、家に着いたら最初に出会う何でもあげると動物に約束させられたこと、その動物はまるで馬のようにおんどりに乗っていて、美しい音楽を奏でていたこと、しかし望むものを与えると書く代わりに与えないと書いたこと、を話してきかせました。そこで王女は喜んで、いいことをしたわ、だって私ははりねずみと一緒に行かないから、と言いました。

ところではりねずみハンスは、ロバや豚の世話をし、いつも陽気で木の上に座り、バグパイプを吹いていました。さて、別の王様が家来と使者を連れて通りかかり、道に迷って森がとても大きかったのでどうしたら家に帰れるかわからなくなりました。この王様も遠くから美しい音楽を聞いて、使者に、あれは一体何だろうと尋ね、行って見てこい、と言いました。そこで使者は木の下に行き、木のてっぺんにいるおんどりと、おんどりの上にいるはりねずみハンスを見ました。使者はハンスにそこで何をしているんですか、と尋ねました。「ロバと豚の番をしているんだ。だけど何か用かい?」使者は、私たちは道に迷い国に戻れないんだ、道を教えてくれませんかと言いました。それではりねずみハンスはおんどりと一緒に木からおりて、年とった王様に、道を教えてあげよう、もし王宮の前で最初に会うものをくれるならね、と言いました。

王様は「いいとも」と言って、はりねずみハンスに約束したように、望みのものを与える、と書いて渡しました。それが終わるとハンスはおんどりに乗って王様の前をいき、道を指差しました。王様は無事に国に着き、中庭に入っていくと、大喜びで迎えられました。さて王様にはとても美しい一人娘がいました。王女は父親を走って出迎え、首にだきついて、戻ったことを喜び、いったいこんなに長い間どこに行っていたの?と尋ねました。それで王様は、道に迷ってもう少しで帰れなくなるところだった、だが大きな森を通っているとき、半分はりねずみ半分人間の生き物が、大きな木におんどりにまたがっていてな、音楽を奏でていたんだ、それで道を教えてくれて森から出られたんだが、お返しに中庭で最初に会ったものをやると約束してしまったよ、それがお前なんだ、だから今悲しいよ、と話しました。ところがこれをきいて王女は、お父様のためですもの、このハンスとやらが来たら喜んで一緒に行きます、と約束しました。

さてはりねずみハンスは豚の世話をしていましたが、どんどん数が増えていき、とうとう森じゅうが豚だらけになりました。そこでハンスはもう森に住まないことに決め、村のどの豚小屋も空っぽにさせてください、すごい大群を連れていくので、殺したい人はみんな殺していいですから、と父親にことづけました。父親はそれを聞いて心配になりました。というのははりねずみハンスがとっくに死んでしまったものと思っていたからです。しかし、ハンスはおんどりに乗って、前に豚を追いやって村へやってくると、豚を殺し始めるように言いました。

そこで殺したり切ったりする音がものすごくなって二マイルも向こうまで聞こえただろうと思われました。このあと、はりねずみハンスは、「おとうさん、もう一度鍛冶場でおんどりの足に金具をつけてもらってください。そうしたら乗って行って、死ぬまで戻りませんから。」と言いました。それで父親はもう一度おんどりの足に金具をつけてもらい、もう二度とはりねずみハンスが戻らないことに喜びました。

はりねずみハンスは最初の王国に出かけました。そこでは王様は、ハンスが宮殿に入れないように、おんどりに乗ってバグパイプをもっているやつは誰でも撃ち殺すなり切り倒すなり刺し殺すなりせよ、と命じてありました。それではりねずみハンスがおんどりに乗ってそこに行くと、みんな槍をもって立ち向かってきました。しかし、ハンスはおんどりに拍車をかけ、飛びあがって門を越え王様の窓の前におりました。そこでハンスは、王様は約束したものをよこせ、さもないと貴様と娘の命をとるぞ、と叫びました。

それで王様は娘に話しかけ、自分とお前の命を救うためにどうかハンスと一緒に行っておくれ、と頼みました。それで娘は白い服を着て、父親は娘に金や財産ともども六頭立ての馬を用意し、きらびやかな召使たちをつけてやりました。娘は馬車に乗り、はりねずみハンスをおんどりとバグパイプと一緒に自分の横に座らせました。それから二人は別れを告げ出ていき、王様は二度と娘に会えないだろうと思いました。しかし、王様がそう思ったのは間違いでした。二人が町から少し出たところで、はりねずみハンスは王女のきれいな服を脱がせ、はりねずみの針で全身血だらけになるまで刺したのです。「それがお前たちの不誠実に対するお返しだ。」とハンスは言いました。「行ってしまえ、お前なんかいらないよ。」そうして王女をまた家に追い返しました。王女は死ぬまで体面をけがされたままでした。

それから、はりねずみハンスはまたバグパイプを持ちおんどりに乗って、道を教えてやった二番目の王様の国に行きました。この王様は、はりねずみハンスに似た者がきたら、捧げ筒をし、案内をして、万歳をとなえ、王宮につれてくるように、と手配してありました。

しかし、王様の娘はハンスを見ると恐怖に襲われました、というのは本当にとても変わってみえたからです。それから、お父様に約束したのだから今更心を変えられないわ、と思いだしました。それではりねずみハンスは王女に喜んで受け入れられ、結婚しました。それで王女と一緒に王様の食卓につくことになり、娘のとなりに座り、食べて飲みました。夜になって寝る時間になると、王女はハンスの針をこわがりましたが、ハンスは、恐がらなくていいよ、何も傷つけないから、と言いました。そしてハンスは王様に次のように話しました。寝室の戸のそばに四人見張りをおいて、たくさん火を燃やしてください、私は部屋に入ってベッドに入るときはりねずみの皮を脱いでベッドのそばにおいておきます、番兵たちはそれに素早く走って行き、火に投げ入れ、燃え尽きるまでそばにいなければなりません。

時計が11時を打つと、ハンスは寝室へ行き、はりねずみの皮を脱ぎ、ベッドのそばに置いておきました。すると、番兵たちがきて素早くそれをとり、火に投げ込みました。皮がすっかり燃えてしまうとハンスの魔法が解け、べっどに人間の姿で寝ていましたが、やけどしたように真っ黒になっていました。王様は医者を呼びにやりました。医者は貴重な軟膏でハンスを洗い、聖油を塗りました。するとハンスは白くなり、ハンサムな若者になりました。王様の娘はそれを見て喜びました。次の朝二人は喜びいっぱいで起き、食べて飲みました。それから結婚式が正式に行われ、はりねずみハンスは年老いた王様から国を引き継ぎました。

何年か経ったとき、ハンスは妻と一緒に父親のところへ行き、自分が息子だと言いました。ところが父親は、自分には息子がいない、はりねずみの針を持って生まれた子はいたが、世間に出て行ったきりです、と言いました。それでハンスは、それが自分だ、と知らせました。年とった父親は喜んで一緒に王国へ行きました。

これでお話はお終い。次のお話は小さなアウグスタの家へ行っちゃったよ。

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背景情報

解釈

言語

「ハンスぼっちゃんはりねずみ」は、グリム兄弟によるメルヘンの一編で、神秘的で幻想的な物語です。この物語は、多くのグリム童話と同様に、人間と不可思議な生物との出会いや、困難を乗り越える成長の過程を描いています。

このお話は、子供を望んでいた農夫が「たとえはりねずみでも」と発言したことで、不思議な姿を持つハンスが誕生するところから始まります。ハンスは人間と針を持つはりねずみの半分ずつの姿で生まれ、村の人々とは異なる存在として成長します。彼は最終的に自立し、驚くべき冒険を経て、成熟した姿に変わることで、自身のアイデンティティと居場所を見いだします。

物語は、ハンスが二つの異なる王国に関わることになります。最初の王国では、約束を破られたものの成功を収め、次の王国では誠実さと約束を守る姿勢によって報われます。彼の変身と成長の過程は、外見ではなく内面の価値を伝える教訓を読者に与えています。

この物語は、変容、約束の重み、人間の本質に関するテーマを探求しており、読者に想像力をかきたてられるようなユニークなキャラクターと状況を提供します。はりねずみハンスの物語は、絵本やアニメーションなどでも再現され、多くの文化や世代にわたり愛されています。

「ハンスぼっちゃんはりねずみ」は、グリム兄弟による「ハンス ぼっちゃん」または「はりねずみのハンス」としても知られている物語の一つです。このお話の内容について、以下のようなさまざまな解釈が考えられています:

異形の受容: 主人公ハンスは、はりねずみと人間の身体を持つという異形の存在です。彼の物語は、「異質なものや疎外されがちな特性を持つ人々が、どのように自分の価値を見つけ、社会に受け入れられていくか」というテーマを反映していると考えられるでしょう。

約束と誠実さ: この物語では、約束がテーマになっています。王たちはハンスに道案内を依頼し、その見返りに何かを約束しますが、この約束がそれぞれの運命にどのように影響を及ぼすかが描かれています。誠実さや約束を守ることの重要性についての教訓を提供しています。

変身と成長: 物語のラストで、ハンスは針を持った姿からハンサムな若者に変身します。この変身は、成長や自己実現の比喩として読み取れるでしょう。彼の変身によって、物理的にも社会的にも新しい存在へと昇華する過程を描いています。

疎外された者の逆転劇: ハンスは当初、父親から疎まれ、自らの居場所をストーブの後ろに見いだしますが、最終的には王国を手に入れ、王として認められるという逆転劇を経験します。この要素は、疎外された者が最終的に成功することへの希望を示しているかもしれません。

このような解釈を通じて、物語は読者に対してさまざまな教訓や考察を提供しています。また、物語のファンタジー要素とフィクションの中に、現実世界の人間関係や社会の在り方についての洞察も織り込まれています。

「ハンスぼっちゃんはりねずみ」は、グリム兄弟によって収集されたドイツの民話で、ユニークで寓意的な物語です。この物語を言語学的に分析すると、いくつかの興味深い要素が浮かび上がります。

言語のスタイルと特徴: 物語は古典的な民話特有の直線的な語り口を持ち、キャラクターの台詞も簡潔かつ直接的です。
– 「昔々」や「さて」「ところで」といった表現がよく使われ、物語の進行を助けるとともに、読者に物語の世界観を感じさせます。

テーマとモチーフ: 子供が欲しいと願った結果、はりねずみと人間のハイブリッドの子供が生まれるという設定は、珍しい願望が予期せぬ結果をもたらすというテーマを表しています。
– 約束の重要性、特に契約や証文の存在が物語の中心的な要素となっています。これは中世ヨーロッパの契約社会を反映しているとも考えられます。

文化的背景: 王様や領主といった階級制度が明確に描かれており、社会的階層のあるヨーロッパの中世的な価値観が窺えます。また、王女が不誠実な約束をしたことに対する罰や、若きハンスが王国を得るシーンなど、勧善懲悪の要素も含まれています。

動物の象徴性: はりねずみという動物は、繊細さと防御的な性格を持つ象徴として表現されています。物語の中で、はりねずみハンスは自らの特異性を受け入れ、最終的には人間としての姿を取り戻します。この変身は、自己受容や成長を示す寓話としても解釈可能です。

物語の構造: 三部構成(出発、試練、帰還)を基本的に踏襲しており、これは古典的な英雄譚の構造に類似しています。ハンスが二つの王国を訪れるプロセスは、試練と変化を経ることで真の報酬を得るという典型的な物語展開です。

このような分析により、「ハンスぼっちゃんはりねずみ」は、単なる民話としてではなく、深いテーマや文化的な背景を持った物語として捉えられることが理解できます。

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