子どもたちの読書の時間: 3 分
警告:これは怖い話です。
昔、分からず屋で詮索好きな女の子がいました。両親が何かするように言ってもいうことをききませんでした。ですから、どうやってうまくやれるでしょうか。
ある日、その子は両親に言いました。「トルーデおばさんの噂をたくさん聞いたことがあるわ。いつかその人のところへ行ってみよう。その人のいろんなことが変わってて、家の中にはとても変なものがあるっていうから、とても知りたくなったわ。

」両親は断固として禁じて、「トルーデおばさんは悪い人だよ、わるいことをするんだ。もしお前が行くなら、もう家の子じゃないよ。」と言いました。
しかし娘は両親の禁止に耳をかさず、やはりトルーデおばさんのところに行きました。娘がやってくるとトルーデおばさんが聞きました。「おまえは、どうしてそんなに青い顏をしているんだい?」 娘はからだ全体をふるわせながら、答えました。「見たものがとてもこわくって。おばさんの家の階段で、まっ黒な人を見たのよ」「それは、炭を焼く男さ」「それから、緑の男も見たわ」「それは、狩人だよ」「そのあとに、血みたいにまっ赤な男に会ったわ」「それは、獣を殺す男だよ」「ああ、怖かったわ、トルーデおばさん。家のまどから見たら、あなたではなくって、本当にそう思うんだけど、頭が火で燃えている悪魔が見えたの」「ほおー!じゃあ、おまえはちゃんとした衣装の魔女を見たんだね。わたしはおまえをずっと待っていたんだ。もう長い間おまえが必要だったんだ。おまえに光をもらおう。」 そうしておばさんは、娘をひとかたまりの木材にかえてしまい、それを火に投げ入れました。そしてパアーと燃え上がると、そのそばに座って暖まり、「なんとも明るい光だわい。」と言いました。

背景情報
解釈
言語
この物語はグリム兄弟による『トゥルーデおばさん』というお話です。物語の主人公は、両親の言いつけを無視する好奇心旺盛な少女です。彼女はトゥルーデおばさんという変わった人物についての噂を聞き、その謎を解き明かしたいとの思いから彼女の家を訪れます。
この物語の中心にあるテーマは、親の言いつけを守ることと、好奇心が過ぎると危険であるという教訓です。少女は両親の警告を無視し、トゥルーデおばさんの家を訪ねますが、そこで不気味な体験をします。家の中で様々な奇怪な人物に出会い、最終的にトゥルーデおばさん自身によって恐ろしい運命に遭います。
トゥルーデおばさんが示す一連の姿(黒い人、緑の人、赤い人)は、恐ろしい事象を象徴しており、彼女自身の正体が悪魔であることを表しています。最終的に、トゥルーデおばさんによって少女は灯火として利用されてしまうのです。この結末は、好奇心が本当に猫を殺すこともあるという警告を強調します。また、この話は18世紀から19世紀のドイツの文化や社会観を反映しており、当時の道徳観念を伝える目的があります。
このグリム兄弟の物語「トゥルーデおばさん」は、いくつかの重要なテーマや教訓を含んでいます。
従順と反抗: 物語の中心には、両親の忠告に耳を貸さない娘の姿があります。彼女の好奇心と反抗的な態度が最終的に悲劇的な結末を迎えることは、子供たちに親の助言を無視することの危険性を示しています。
好奇心の代償: 娘のトゥルーデおばさんへの訪問は、好奇心が時には危険な結果を招くことがあるという警告です。未知の事柄に対する興味は重要ですが、それが安全を脅かす可能性があるということを教えています。
魔女と魔法: トゥルーデおばさんは魔女として描かれ、娘を木材に変えて燃やしてしまうシーンは、魔法の力とそれによる恐ろしい結果を象徴しています。これは、魔女や魔法がしばしば危険や不確実性を示す記号として使われていることを示しています。
恐怖と幻想: 娘が家の中で見た黒、緑、赤の男たちは、彼女の恐怖心や想像力の具現化として理解できます。これにより、私たちは自分の恐怖がしばしば現実を歪め、さらに危険を引き寄せる可能性があるという教訓を学びます。
この物語は、初めて読む人に強烈な印象を与え、伝統的な道徳や警告を現代にも通じる形で伝えています。
「トゥルーデおばさん」というグリム兄弟の物語は、多くの場合、道徳的な教訓を含んでいます。この物語の主人公である少女は、好奇心旺盛で自分の意思で行動する性格ですが、その結果として危険に直面します。この物語を通じて、以下のようなテーマや教訓が考えられます。
親の忠告を無視することの危険性: 物語では、トゥルーデおばさんを訪ねることを両親から禁じられますが、少女はその忠告を無視します。この結果、彼女は悲劇的な運命を迎えることとなります。これは、親や大人の忠告をしっかり聞くことの大切さを教えていると考えられます。
好奇心とそのリスク: 主人公は好奇心からトゥルーデおばさんの家に行きますが、その結果、恐ろしい体験をし、最終的には元に戻れない状況に陥ります。このような展開は、好奇心が時には危険を伴うことを示しています。
見た目に惑わされないこと: 物語の中で、少女は家の中で奇妙な存在を目撃しますが、それらは全て別のものであるとトゥルーデおばさんに説明されます。このことは、人や物事の見た目や表面的な部分だけで判断してはならないという教訓を含んでいると考えられます。
魔女という存在: 伝統的に、多くの民話や童話で魔女は悪意を持つ者として描かれています。「トゥルーデおばさん」もその例外ではなく、魔女としてのトゥルーデは少女を欺き、最終的に彼女を犠牲にします。これは、童話における善悪の二元論的な構造を反映しているといえるでしょう。
この物語は、子供に対して用心深さや親の意見を尊重することの重要性を自然に伝える役割を持っています。教訓的な要素を強く持つことで、子供たちに価値あるメッセージを伝えることを目的としているようです。