子どもたちの読書の時間: 3 分
昔、狐が狼に人間の強さについて、どんな動物も抵抗できないとか人間から身を守るためにみんな知恵を絞らないといけないとか、話していました。すると、狼は「それでも、もし人間に一度でも会うチャンスさえあれば、おれは襲いかかってやるんだが。」と答えました。「それならお手伝いできるよ。明日の朝早く、うちにおいでよ。そうすれば人間をみせてやるよ。」と狐はいいました。狼は朝早く現れました。そして狐は猟師が毎日行く道に狼を連れ出しました。最初に年とった除隊兵が来ました。「あれが人間か?」と狼は訊きました。「いや、あれは昔人間だった。」と狐は答えました。そのあと、学校に行く小さな男の子が来ました。「あれが人間か?」「いや、あれはこれから人間になる。」
とうとう二連銃を背にかけ、脇に刀の吊り手をぶら下げた猟師がやって来ました。狐は狼に言いました。「ほら、人間が来るよ。きみは襲わなくちゃ。だけど僕は巣穴に行ってるから。」それから狼は人間に突撃しました。猟師は狼を見ると、「弾を込めてなくて残念だ。」と言って、ねらいをつけ、狼の顔に小銃を撃ちました。狼はとてもしかめた顔をしましたが、恐れずに二度目の攻撃をしました。それに対し、猟師は2個目の弾を撃ちました。狼は痛みをこらえて、猟師に突撃しました。しかし猟師は光った刀を引き抜き、右に左に2,3の切り傷を与えました。
それで、狼はあちこち出血してうなりながら狐のところに走って戻りました。「さて、狼兄い、人間をどうやっつけたかい?」と狐は言いました。「ああ、人間の強さをあんなふうだと想像してなかったよ。初めに人間は肩から棒をとってそれを吹いたんだ。そうしたら何か顔に飛んできて、ひどくむずむずしたんだ。それからもう一回棒を吹くと、稲妻やひょうのように鼻に飛んできた。うんと近くなったら、人間は体から白いあばら骨を抜いて、それで打ったから、もう少しで死んでおだぶつになるところだったよ。」と狼は答えました。「ほらね、自分がどんなにほら吹きかわかっただろ。あまり遠く手斧を投げると、二度ととりもどせないよ。」と狐は言いました。